進化の法則を知れば先が読める

文化文明も、それ以外の全て、生物無生物にかかわらず、つまり、有形無形にもかかわらず、進化するものだと、私は考えている。 そこで、今回、特に、無形の文化文明の進化を提示したいと思い、この本を描き上げた。

第十二章: ネット(通信)中心の文化文明 (その七)

[グローバルとパーソナル]
基盤としてはグローバル(普遍)であらねばならないが、末端的には、個別化の要求に沿わねばならない。日本は、今の家電業界が端的に示すように、グローバリゼーション(普遍化)の面でも、パーソナライゼーション(個人化)の面でも遅れを取っている。未だに高度な技術技術で売ろうとする。
[インターネットの発展]
ネット(通信)中心の文化文明の繁栄は、当然だが、インターネットの発展によってもたらされた。営利目的のインターネットサービスプロバイダが、1980年代末から1990年代に出現した。
[Windows95]
1995年にWindows95が発売される。これが、ネットを一般社会に普及させた最大の功績者である。とはいっても、基本ソフトであるWindows自体はネットとはあまり関係がない。Windowsはパソコンの普遍化と普及とをもたらした。私もこれを買うことによって、ネットにからめ取られてしまった。
だが、功労者であるWindowsは風前の灯である。中心はパソコンからスマートフォンに軸足を移してしまった。
おっと、もう私の目的は既に達してしまった。ここら辺で、筆を置くことにしたい。

グローバリゼーション-現代はいかなる時代なのか(有斐閣Insight)

グローバリゼーション-現代はいかなる時代なのか(有斐閣Insight)

  • 作者:正村 俊之
  • 発売日: 2009/09/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
グローバリゼーション ─縮小する世界─ (地誌トピックス1)

グローバリゼーション ─縮小する世界─ (地誌トピックス1)

  • 発売日: 2018/02/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

第十二章: ネット(通信)中心の文化文明 (その六)

[集合知というアゴラ]
集合知というアゴラ(古代ギリシアの国家における民会の開催場所)を形成する者・組織(例えば、ヤフー、TwitterFacebook、少し違うがアマゾン、規模が小さいが、日本では、楽天cookpadなど)が、今後ますます主役の座につき、さらなる王座を狙う存在となる。
[Web1.0と2.0]
一時、Web2.0という言葉が盛んに用いられた。ネット世界(Web世界)の進化は、Web 1.0は(観客として)「見る」だけの世界。Web 2.0は(舞台に立って演じる演技者として)「使う」世界。
[Web 3.0]
Web 3.0は(観客であり、演技者であり、演出家であり)「作る、自由に加工する」世界、共有化されたデータベースを駆使して自分世界を実現できるインタラクティブ(Interactive:双方向的)な世界である。
[One for All, All for One]
ネットの普及によって、グローバリゼーション(普遍化)とパーソナライゼーション(個人化)とが、同時並行に進行している。一人がすべてのために、全てが一人のために。"One for All, All for One”

Web3.0への会議

Web3.0への会議

次世代Web―Web3.0概説

次世代Web―Web3.0概説

神々の「Web3.0」 (光文社ペーパーバックス)

神々の「Web3.0」 (光文社ペーパーバックス)

  • 作者:小林雅一
  • 発売日: 2008/08/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
ウェブ3.0型社会 リアルとネット、歩み寄る時代

ウェブ3.0型社会 リアルとネット、歩み寄る時代

  • 作者:神田 敏晶
  • 発売日: 2007/02/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

第十二章: ネット(通信)中心の文化文明 (その五)

[国境の破壊者]
全世界を股にかける商社アマゾンや、情報と情報基盤を提供するグーグルは、国境を破壊する、崩壊させる、破壊者であり、かつまた、新しい世界の創造者でもある。
[アマゾンやグーグルは創造者]
アマゾンやグーグルは、単なる破壊者ではなく、新しくより便利なものを提供する(創造者である)ことによって、古いものを駆逐するという手法をとっている。
[今の時代に要求される能力]
今のようなグローバル化の時代に要求される能力は、世界中から流れこんでくる情報の混沌の海から、つまり、地に沈んだ図を読み取って統合するコーディネート能力である。どんな情報が図であるかは、個々人によって、国によって、企業によって、集団によって異なる。
[コーディネート能力]
今後ますます、人事面で最有力視される能力が、このコーディネート能力、さまざまな要素を一つの形にまとめる能力、である。社員は、バイトを差配する、人事する、コーディネートする能力が要求される。

第十二章: ネット(通信)中心の文化文明 (その四)

[TPP不参加は鎖国化]
今、日本でTPPの参加が問題になっているが、これも国際化の流れの一環である。TPP不参加は、孤立化、村八分化でもある。TPP不参加は、鎖国化への道ともなる。今時の鎖国化は、北朝鮮に見られるような、極端な貧困をもたらす。散逸構造論を思い浮かべられよ。
[お山の大将俺一人ではない]
世界経済を引っ張ると自負する中国も、TPPからの孤立のままでは、お山の大将俺一人ではいられないと気がついて、その流れの中に入らねばという焦りが垣間見えている。
[マイクロソフト]
このようなグローバル化と、知や情報のネット化の基礎を構築したのが、コンピュータソフトのマイクロソフト(特に、基本ソフトであるWindows)である。もちろん、ネットへの入り口の役目をするのは、ブラウザであるが。これが全世界的な共通基盤を築き上げた。
[飛行機のコモディティ化]
もちろん、物質面で、グローバル化の流れを作った陰の功労者は航空機でもある。さらに、航空機会社はLCC(格安航空会社)化、すなわち、飛行機のコモディティ化(タクシー化)の流れが凄まじい。

第十二章: ネット(通信)中心の文化文明 (その三)

[楽天ユニクロ]
楽天は、英語を社内共通語とすると宣言した。ユニクロに至っては、いずれ世界同一賃金にすると発表した。アマゾンは、全世界でネット通販を展開する。FacebookなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス:social networking service)は、世界中からの国境を越えて友達を誘い合う。
[国の壁の崩壊]
これによって、ベルリンの壁が壊されたように、国の壁が壊されて、当たり前のこととして、人材採用と、人事異動が、世界規模へと拡大する。人、もの、金の動きが、グローバル化する。
[課税はどうなる]
気になるのが、国単位で課税されている税金がどうなるかということである。私は、アマゾンを利用しているが、アマゾンに支払った消費税は、どうなっているのだろうか。いな、そもそも消費税を払っているのだろうか。
[国連への期待]
今後、ネットがさらに世界的に普及すれば、税金や社会保障や法律などなど、義務と権利の問題が、大きく浮上してくるだろう。となれば、国連への期待が今後大きく高まるのではないだろうか。

国連の正体

国連の正体

新わかりやすい国連の活動と世界

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第十二章: ネット(通信)中心の文化文明 (その二)

[一般人による受発信]
そういう意味では、一般人は、今まで与えられるだけであった教義(生活指針)を、発信する側にも回ったということが言える。ということで、集合知は、初めて、すべての人々(全世界)が、受発信する、世界解釈書だとも言える。
[集合知の大きな担い手]
1998年に創業したGoogleは、人類が使うすべての情報を集め整理するという壮大な目的を持って、グローバルに(より広い環境に、より普遍性を持って)、知・情報を提供することによって、集合知の大きな担い手となった。
[時代精神を受けた存在]
Googleは、まさしく、登場すべき時に登場した世界的企業である。時代精神(ある時代に支配的な知的・政治的・社会的動向を表す全体的な精神傾向)を受けた存在である。
[国単位の崩壊]
Googleの創業によって、全世界が同じネット上で集うことが当たり前になったことなどを考えると、日本とか中国とかの国単位が、もはや意味をなさなくなる、前兆でもある。

集合知プログラミング

集合知プログラミング

  • 作者:Toby Segaran
  • 発売日: 2008/07/25
  • メディア: 大型本
集団と集合知の心理学

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ロジカル・シンキング (Best solution)

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オープンサイエンス革命

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第十二章: ネット(通信)中心の文化文明 (その一)

第十二章: ネット(通信)中心の文化文明
[ネット(通信)中心の文化文明]
西洋の衰退や科学技術がもたらす負の側面によって、科学的知識や技術一辺倒の文化から、草の根的なネット(通信)中心の文化文明へと移行が始まっている。この文化文明のキーワードは、共有財産的な「集合知」である。これからは、科学技術をもその中に含む、集合知によって世界を解釈する時代となってゆく。ということで、国境を越えたネット中心の集合知は、科学技術をも中に取り込んでいるので、単なる科学技術知識よりも更に普遍性が高まったと言える。
[中心的情報の変遷]
これまで見て来たように、中心的(世界解釈用)情報(の拠り所)が、神話・民族宗教⇒広域宗教教義⇒(西洋的)科学技術知識⇒グローバルな(全世界的)ネット上集合知へと変遷してきた。
[一部から全員へ]
宗教教義や科学知識が、ごく一部の人々(宗教者、科学者)によってのみ与えられた、のとは異なり、ネット中心集合知は、意図しようがしまいが、全世界のすべての人々が生み出すことができる。買い物しただけでも歩くだけでも参加している知識(データ)提供者として参加している。この情報提供者と情報内容の規模が進化する毎に拡大している。そうでなければ、とても進化とは呼べない。

集団と集合知の心理学

集団と集合知の心理学

集合知プログラミング

集合知プログラミング

  • 作者:Toby Segaran
  • 発売日: 2008/07/25
  • メディア: 大型本
ロジカル・シンキング (Best solution)

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オープンサイエンス革命

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第十一章: 科学技術中心の文化文明 (その五)

[科学技術は善悪の彼岸]
勿論、実際には、科学技術自体が悪いのではない、単なる科学技術は善悪の彼岸にある。逆から言えば、科学者が安全などという評価的言葉は使うべきではないと思う。確率だけで表現すべきだったのだ。この辺りから、御用学者という言葉に真実味をもたらす。
[科学技術への信頼失墜]
科学技術や知識を社会生活に利用する、応用する(政治家を含めて)人々のほうが、信頼をなくすような、行動をとってきたことが、科学技術への信頼失墜の原因である。日本でも、原子力事故により、科学者の発言が以前のようには金科玉条のように信用されなくなってきている。
[発展途上国には宝]
とはいえ、発展途上国には、科学技術は、今なお物質的豊かさをもたらす極めて重要な手段であることには変わりがない。温度差は大きいのである。先進諸国でも、物質的豊かさか、精神的豊かさか(安全安心などの心理的豊かさも含め)の選択が問われている。

責任ある科学技術ガバナンス概論

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日経テクノロジー展望2020 世界を変える100の技術

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  • 発売日: 2019/10/18
  • メディア: 単行本

第十一章: 科学技術中心の文化文明 (その四)

[科学技術への信頼が揺らぐ]
3.11によって、自然の猛威の圧倒さを見せつけられて、人間の自然への優位性への思い上がりと、科学技術への過度の信頼と、科学者技術者を無批判的に信頼することへの確信が、根本から揺らぎガラガラと崩れて行った。
[世論調査]
日経新聞は、2013年5月27日に世論調査をした結果を掲載した。内容は、「政府や電力会社が行う原発の安全対策」についての調査である。
「信頼できる」:3.3%、「どちらかというと信頼できる」:21.6%、「どちらかというと信頼できない」:36.7%、「信頼できない」:35.7%
信頼できるの合計:24.9%、それに対して、信頼できないは:72.4%。
朝日新聞社が2013年6月8〜9日に実施した全国世論調査によると、日本経済の成長のためだとして原発を積極的に利用する安倍政権の方針について、反対が59%に上り、賛成27%に過ぎなかった。
更に、停止している原発の運転再開については、反対は58%で、賛成28%。
これらの調査結果から、科学技術や知識が如何に不審の目で見られているかがわかる。

日経テクノロジー展望2020 世界を変える100の技術

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  • 発売日: 2019/10/18
  • メディア: 単行本

第十一章: 科学技術中心の文化文明 (その三)

[枯衰を前兆する出来事]
またまた、早々と歩を進めるが、科学技術中心の文化文明の枯衰を前兆する暗示するような出来事が最先端国アメリカで発生した。即ち、進歩を誇示するかのような巨大ビルがもろくも崩れ落ちた。つまり、2001年9月11日にアメリカ合衆国で9.11が、その十年後の2011年3月11日に3.11が日本で起こった。
[3.11]
特に、3.11は、世界的に、特に、科学技術の力によって達成した先進諸国においては、科学技術万能主義・科学技術信仰の崩壊(科学技術だけで世界を構築することへの不安)を加速させた。その前兆的な事件が、1986年4月26日にソビエト連邦(ウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所での原子力事故である。
[9.11]
先進諸国(特に西欧諸国)はすばらしい科学技術は、人々に幸福をもたらすなどとして、先進諸国の優位性、と科学技術への確信を誇っていた。だが、、1986年4月26日にソビエト連邦で、、2001年9月11日にアメリカ合衆国で、の2011年3月11日に日本で、発生した出来事で、それらは大きく揺らいだ。
[世界貿易センタービルの崩壊]
また、そのことによって、科学技術は人々を幸せにするだけではないことを思い知らされた。私は、世界貿易センタービルの崩壊から、バベルの塔の崩壊を思い浮かべてしまった。もしかすれば、それは西洋の優位性と科学技術への信頼の崩壊を象徴するものであるかもしれない。

日経テクノロジー展望2020 世界を変える100の技術

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  • 発売日: 2019/10/18
  • メディア: 単行本
科学的にラクして達成する技術

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