進化の法則を知れば先が読める

文化文明も、それ以外の全て、生物無生物にかかわらず、つまり、有形無形にもかかわらず、進化するものだと、私は考えている。 そこで、今回、特に、無形の文化文明の進化を提示したいと思い、この本を描き上げた。

第一章: なぜ人間にだけ文化が生まれるのか(その六)

[ものの身体化]
ところで、外化の逆方向ともいえる、ものの”身体化”という言葉もある。例えば、自転車を乗りこなすとは、自転車をあたかも身体の一部であるかのように、乗りこなすことを言い表す。それを、自転車の身体化とも呼べるかもしれない。身体(機能)の外化の後に、物の身体化、再取り込みが生じるとも言える。道具を使いこなすことが、道具の身体化である。これは小脳の役割、働きである。道具の操作能力は、小脳に頼っている。
注)身体化と同じような意味で、”内化”という語がある。これは、外部のもの(情報)を内側に取り込むことである。内化は文字通りの取り込みであるが、身体化は、道具をあたかも身体の一部であるかの如く使いこなすことである。
[身体の拡張]
「メディアはメッセージである」と主張した、ハーバート・マクルーハンは、身体(機能)の外化ではなく、テクノロジー(科学技術)やメディアは人間の身体の「拡張」であると主張する。自動車や自転車は足の拡張、ラジオは耳の拡張であるというように、あるテクノロジーやメディア(媒体)は、身体の特定の部分を「拡張」する、と表現する。

身体化の人類学―認知・記憶・言語・他者

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  • 発売日: 2013/04/02
  • メディア: 単行本
身体化するメディア/メディア化する身体

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  • 発売日: 2018/10/23
  • メディア: 単行本