[ものの身体化]
ところで、外化の逆方向ともいえる、ものの”身体化”という言葉もある。例えば、自転車を乗りこなすとは、自転車をあたかも身体の一部であるかのように、乗りこなすことを言い表す。それを、自転車の身体化とも呼べるかもしれない。身体(機能)の外化の後に、物の身体化、再取り込みが生じるとも言える。道具を使いこなすことが、道具の身体化である。これは小脳の役割、働きである。道具の操作能力は、小脳に頼っている。
注)身体化と同じような意味で、”内化”という語がある。これは、外部のもの(情報)を内側に取り込むことである。内化は文字通りの取り込みであるが、身体化は、道具をあたかも身体の一部であるかの如く使いこなすことである。
[身体の拡張]
「メディアはメッセージである」と主張した、ハーバート・マクルーハンは、身体(機能)の外化ではなく、テクノロジー(科学技術)やメディアは人間の身体の「拡張」であると主張する。自動車や自転車は足の拡張、ラジオは耳の拡張であるというように、あるテクノロジーやメディア(媒体)は、身体の特定の部分を「拡張」する、と表現する。
- 作者:フランシスコ ヴァレラ,エレノア ロッシュ,エヴァン トンプソン
- 発売日: 2001/08/10
- メディア: 単行本