進化の法則を知れば先が読める

文化文明も、それ以外の全て、生物無生物にかかわらず、つまり、有形無形にもかかわらず、進化するものだと、私は考えている。 そこで、今回、特に、無形の文化文明の進化を提示したいと思い、この本を描き上げた。

第四章:環境とその影響下の主体の変化 (その七)

[薬剤耐性という進化]
微生物(ウィルスなど)や昆虫の薬剤耐性獲得は、変異と選択による進化の最も身近な実感できる例の一つである。殺虫剤に対する病害虫の耐性、病気を治療する際に用いられる抗生物質抗癌剤などの薬剤に対して抵抗力の獲得。その結果、これらの薬剤が効かない、あるいは効きにくくなることを、薬剤耐性と呼ぶ。これも進化の一例である。
[逃亡派ととどまり派]
これによって、薬剤が処方される環境から逃げる固定派と、薬剤下での環境でも生き続ける、生き延びる進化派とに分岐してゆく。皮肉なことに、薬剤を強力に広範囲に使い過ぎると、固定派が滅び、進化派が主役に躍り出る。つまり、人間が病原菌の進化の手助けをしていることにもなる。
ガンより怖い薬剤耐性菌 (集英社新書)
まだ変えられる! くすりがきかない未来: 知っておきたい薬剤耐性(AMR)のはなし
微生物の驚異 マイクロバイオームから多剤耐性菌まで (別冊日経サイエンス221)
抗菌薬が効かなくなる ―AMR(薬剤耐性)との闘いに人類は勝てるのか?