進化の法則を知れば先が読める

文化文明も、それ以外の全て、生物無生物にかかわらず、つまり、有形無形にもかかわらず、進化するものだと、私は考えている。 そこで、今回、特に、無形の文化文明の進化を提示したいと思い、この本を描き上げた。

第八章:余剰の発生が文化文明を生み出す (その五)

[食料生産外の時間が発生]
農耕牧畜によって、全員が自然物(食料)生産に従事しなくてもよいほどに、つまり、余剰が生み出されて、食料生産外の時間(文化的活動)が発生した。とは言え、文化の定義が、人類が自らの手で築き上げてきた有形・無形の成果の総体、なので、食料生産も文化的活動と言えるが。
[大規模な灌漑農耕]
大河の水を利用した大規模な灌漑農耕が、豊かな収穫を可能にし、大量の余剰生産物を生みだした。これが、エジプトや黄河での文明の発生へとつながっていった。この文明の説明からすれば、文明とは、個々の文化的成果を包摂する内容を指し示すと言える。大規模灌漑農耕が文明を生む基盤であった。大量が質へと転化する。
であっても、幸島の猿の文化のように、小さな集団にも文化は芽生える。文明が発生することはないだろうが。
[キノコ栽培するハキリアリ]
植物栽培は人間だけの専売特許ではない。ハキリアリは、キノコを栽培する。が、残念ながら、彼らには、それによって、余剰や余暇が発生したようには思われない。相変わらず、黙々と働き続けている。つまり、ハキリアリでは、植物栽培も本能的システムの一部として最初から組み込まれている。新たに発明(突然変異)されたものではない。だから、文化とは言えない。

文明の生態史観 (中公文庫)

文明の生態史観 (中公文庫)

銃・病原菌・鉄 上巻

銃・病原菌・鉄 上巻