進化の法則を知れば先が読める

文化文明も、それ以外の全て、生物無生物にかかわらず、つまり、有形無形にもかかわらず、進化するものだと、私は考えている。 そこで、今回、特に、無形の文化文明の進化を提示したいと思い、この本を描き上げた。

第六章:働き・作用から見れば、生態系、散逸構造 (その三)

[エントロピー増大の法則]
しかしながら、”エントロピー増大の法則”はいう。その法則では、自然界では、常に、エントロピー(乱雑さ、無秩序度)が小さい方から大きいへという方向に進む、という。つまり、これは、自然は必ず秩序から無秩序へという方向に進む、定常から散逸する方向へと進む、ということを言い表す。
しかし、実際には、自然界では、その法則に逆らうような現象がいっぱい起きている。これをどう解釈すればいいのだろうか。
[台風は散逸構造]
台風が散逸構造に該当する。台風発生前には、無定型に、高温の海面から水蒸気が蒸発する。その水蒸気が放出する時に生じる潜熱が台風を生み出す原動力、エネルギー源である。また、軽くなった空気は上昇する。すると、地上付近では周囲から湿った空気が中心に向かい上昇し、さらに熱を放出しエネルギーを与える。このような条件や動きが重なり合ってあたかも一つのシステムを形成するかのような定常的な流れとなり、台風は発達して行く。そして上陸して、エネルギーの供給が止まると、弱まり、やがて散逸消滅する。台風は、散逸構造であると共に、オートポイエーシス的システムでもあると言える。
散逸構造―自己秩序形成の物理学的基礎
現代熱力学―熱機関から散逸構造へ
混沌からの秩序
自己組織化と進化の論理―宇宙を貫く複雑系の法則 (ちくま学芸文庫)
現代物理学叢書 散逸構造とカオス (岩波オンデマンドブックス)