[エントロピー増大の法則]
しかしながら、”エントロピー増大の法則”はいう。その法則では、自然界では、常に、エントロピー(乱雑さ、無秩序度)が小さい方から大きいへという方向に進む、という。つまり、これは、自然は必ず秩序から無秩序へという方向に進む、定常から散逸する方向へと進む、ということを言い表す。
しかし、実際には、自然界では、その法則に逆らうような現象がいっぱい起きている。これをどう解釈すればいいのだろうか。
[台風は散逸構造]
台風が散逸構造に該当する。台風発生前には、無定型に、高温の海面から水蒸気が蒸発する。その水蒸気が放出する時に生じる潜熱が台風を生み出す原動力、エネルギー源である。また、軽くなった空気は上昇する。すると、地上付近では周囲から湿った空気が中心に向かい上昇し、さらに熱を放出しエネルギーを与える。このような条件や動きが重なり合ってあたかも一つのシステムを形成するかのような定常的な流れとなり、台風は発達して行く。そして上陸して、エネルギーの供給が止まると、弱まり、やがて散逸消滅する。台風は、散逸構造であると共に、オートポイエーシス的システムでもあると言える。