進化の法則を知れば先が読める

文化文明も、それ以外の全て、生物無生物にかかわらず、つまり、有形無形にもかかわらず、進化するものだと、私は考えている。 そこで、今回、特に、無形の文化文明の進化を提示したいと思い、この本を描き上げた。

第六章:働き・作用から見れば、生態系、散逸構造 (その二)

[主体のあるなし]
要するに、環境には、ある主体を取り巻くものという意味合いが強いが、他方、生態系は、相互につながったまとまりという集団志向的な意味を表す。この違いはとても大きい。
[オートポイエーシス的システム]
ある主体から見た環境という視点からは見えてこないが、生態系という一つのつながりやまとまりで見れば、「オートポイエーシス」的システムを思い浮かべる。
例えば、細胞は、核酸酵素代謝物のような様々な生化学的な構成要素から成り立つ。そしてそれぞれが細胞内の組織化された構造を作り上げている。それと同時に、物質とエネルギーの外部との交換に基づいて作動しているこれらの構造は、その構造を維持しつづけるようにその構成要素を絶えず生成または分解している。
[生態系はオートポイエーシス]
構造やそれの構成要素の方に目を向けないで、そこで働いている作用(機能、働き)の方取り出してオートポイエーシスという。生態系は、オートポイエーシス(構造を維持しつづけるようにその構成要素を絶えず生成または分解する働き)という視点から見る。
[散逸構造とは]
そのような構造を、オートポイエーシス的システムという。これはまた、散逸構造ともよく似ている。”散逸構造”とは、エネルギーが散逸(ばらばらになって行方がわからなくなる)していく流れの中に自己組織化によって生まれる、「定常的な構造」をいう。散逸という無定型、無方向な大きな流れ(動き)の中に、定常的な構造、流れ、動きが出現する。宇宙全体は散逸的流れであるが、各所に定常的な動き(構造)が出現している。
散逸構造―自己秩序形成の物理学的基礎
現代熱力学―熱機関から散逸構造へ
混沌からの秩序
自己組織化と進化の論理―宇宙を貫く複雑系の法則 (ちくま学芸文庫)
現代物理学叢書 散逸構造とカオス (岩波オンデマンドブックス)
存在から発展へ【新装版】――物理科学における時間と多様性
プリゴジンの考えてきたこと (岩波科学ライブラリー (67))
構造・安定性・ゆらぎ 【新装版】――その熱力学的理論