進化の法則を知れば先が読める

文化文明も、それ以外の全て、生物無生物にかかわらず、つまり、有形無形にもかかわらず、進化するものだと、私は考えている。 そこで、今回、特に、無形の文化文明の進化を提示したいと思い、この本を描き上げた。

第六章:働き・作用から見れば、生態系、散逸構造 (その八)

[恐竜の絶滅]
ほぼ完全に海から開放された爬虫類である恐竜が、不幸な出来事によって滅ぶよりももっと以前から、次の主役(猿)は、裏で着々と準備を進めていて、機会をうががっていたのである。
[恐竜絶滅の原因]
恐竜に降って湧いた不幸な出来事とは、直径10キロほどの隕石が、メキシコのユカタン半島近くに衝突したことである。その結果、巻き上げられた大量のチリ(細かな砂など)は、成層圏にまで舞い上がり太陽光を遮り“衝突の冬”が訪れた。その10年ほど続いた“冬”の間に植物は枯れ、あたかもドミノ倒しのように、続いて、それをエネルギー源とする草食恐竜が死に絶え、その食物連鎖上にあった肉食恐竜も絶滅していった。
[エネルギ流入の途絶]
これは、散逸構造を維持していた、ある種のエネルギ(この例では、植物、更にはその前の太陽光)の流入が途絶えたために、ドミノ的に、構造が崩壊したともみなせる。つまり、散逸構造オートポイエーシスシステム、生態系の崩壊である。
[草刈り場]
恐竜の後に現れた主役の猿の生育環境は、森(世界の森林面積は約40.3億ヘクタールで、全陸地面積の約31%を占める)であり、恐竜のそれは、草原であった。恐竜の絶滅によって、主役の去った草原は、次の主役の座を狙うものたちにとって、草刈り場となった。
不毛の地にまず舞い降りるのは通常植物である。その後、その植物を求めて、動物たち(草食動物、続いて肉食動物)が入り込んでくる。