進化の法則を知れば先が読める

文化文明も、それ以外の全て、生物無生物にかかわらず、つまり、有形無形にもかかわらず、進化するものだと、私は考えている。 そこで、今回、特に、無形の文化文明の進化を提示したいと思い、この本を描き上げた。

2020-01-01から1年間の記事一覧

第四章:環境とその影響下の主体の変化 (その十)

[変化と安定] 進化(変化)と安定という、両者があって、つまり、変化がありながらも、それが小さな変化に過ぎず、全体としては安定しているという状況が維持されなければ、安定的には続いてはいかない。 [成長点] 植物には成長点があり、そこだけが変化成長す…

第四章:環境とその影響下の主体の変化 (その九)

[遺伝子発現と再生医療] 遺伝子発現を封印(メチル化)されていない(川上)段階の細胞を使うのが、再生医療である。そして、そこから再度特定の遺伝子の発現を促して、お望みの(川下)段階に所属する細胞群(例えば心筋細胞)を生成する。 [固定化方法] 生物進化で…

第四章:環境とその影響下の主体の変化 (その八)

[細胞は全て同一DNAを持つ] 変化の拒否には、もうひとつの方法がある。例えば、多細胞生物では、神経細胞、皮膚細胞、筋肉細胞など、それぞれ形状や機能の違う様々な細胞から構成されている。しかし、これらの細胞は全て同一のゲノムDNAを持っていて、ひとつ…

第四章:環境とその影響下の主体の変化 (その七)

[薬剤耐性という進化] 微生物(ウィルスなど)や昆虫の薬剤耐性獲得は、変異と選択による進化の最も身近な実感できる例の一つである。殺虫剤に対する病害虫の耐性、病気を治療する際に用いられる抗生物質や抗癌剤などの薬剤に対して抵抗力の獲得。その結果、こ…

第四章:環境とその影響下の主体の変化 (その六)

[進化と固定] 進化とは、新しい環境により良く適した突然変異を獲得することで成し遂げられえる。逆から言えば、進化を止める(固定化)とは、今まで適していた環境に居続けるためには、次から次へと生まれ出る突然変異を捨て去ることである。変化を拒否するこ…

第四章:環境とその影響下の主体の変化 (その五)

[進化の停滞(固定化)] 主役ではなくなった、海(水中)という環境での進化が、今では、先へは進まず停滞(固定化)したように思える。飛躍的な進化は、辺境地帯(フロンティア)に限られるのだろうか。人間でも、動物でも、若者は大きく変化進化するが、成熟すると…

第四章:環境とその影響下の主体の変化 (その四)

[生物分類] 生物進化は多様化という方向に進む。次に進む前に、生物進化によって生み出された生物全体を体系づけている生物分類を説明したい。生物分類は、界、門、網、目、科、属、種の7段階で行われる。上から段々と細かな違い(差異)によって分類分けをす…

第四章:環境とその影響下の主体の変化 (その三)

[地球環境の大変化] 地球上のすべての大陸は、かつては1つの超巨大、超広大な原始的な超大陸をつくっていた。その超大陸はパンゲアと呼ばれている。これが約2億年前に様々な方向に分裂を開始した。これは、環境の超絶大変化であり、爆発的多様化を促進させた…

第四章:環境とその影響下の主体の変化 (その二)

[メタン環境] 酸素発生以前には、陸地は生存不可能な劣悪な危険窮まりない環境下にあった。例えば、原始地球においてはメタン菌(メタンを合成する古細菌の総称)によって生成されたメタンによって地球大気が暖められていた。しかし、今や、メタンは、メタンハ…

第四章:環境とその影響下の主体の変化 (その一)

第四章:環境とその影響下の主体の変化 [環境とは] 環境、環境と頻繁に何気なく使うが、では環境とは一体何だろうか。辞書的な定義では、生物や人間を取り巻く有形無形のもののうちで、主体の生存と行動に深く関係がある、影響を及ぼすと考えられる諸要素・諸…

第三章:進化の諸相(その五)

[宇宙の基本原理] 「栄枯盛衰は世の習い」は、宇宙の基本原理である。生物界では、進化とは、結果的には、環境変化(あるいは、新しい環境の創造)にともなって、主役(時代の先端[フロンティア]を華々しく進むもの)が次々に交代していく歴史であった。進化には必…

第三章:進化の諸相(その四)

[戦国時代の終了] 織田信長によって終止符が打たれた、戦国時代(日本全国を群雄が割拠し、天下統一を目指し合い争った戦乱の時代 )は、1467年の応仁の乱か1493年の明応の政変から始まり、1568年の織田信長入京か、1573年に室町将軍足利義昭が信長によって追…

第三章:進化の諸相(その三)

[転換はオーバーラップ] 主役と脇役の転換は、オーバーラップ(年時の重なり合い)する。主役から脇役への引き下がり、逆に、周辺にいた脇役の主役への躍進などは、劇的に遂行されるわけではなく、長い時間をかけて変遷する、見かけ上はどれだけ劇的であってさ…

第三章:進化の諸相(その二)

第三章:進化の諸相(その二)[弁証法] 弁証法では、古いものが否定(部分否定)されることによって動きが生じる。とはいっても、新しいものが現れる際、古いものが全面的に捨て去られるのではない。古いものが持っている内容(様々な要素)のうち、積極的な要素が…

第三章:進化の諸相(その一)

第三章:進化の諸相(その一)今までさまざまなもの(種類)の進化を見てきたが、ここでは進化の持ついろんな相(特質)を見て行きたい。階層構造についてはもう述べたので、それ以外の面を見ていく。 [温度と原子合成の関係] (環境)温度が高くなればなるほど、より…

第二章:進化の汎用性、全てのものは進化し得る(その五)

第二章:進化の汎用性、全てのものは進化し得る(その五) [原子(元素)の進化] 物の元(大元ではないが)である、原子(元素)も進化してきたといえる。それぞれの原子の生成(誕生)は、温度と圧力という点(生成環境)がお互いに異なっている。つまり、種類の異なる原…

第二章:進化の汎用性、全てのものは進化し得る(その四)

第二章:進化の汎用性、全てのものは進化し得る(その四) [フロンティア] そういう意味では、そのような(新しく生まれ出た)領域は、フロンティアであり、未開拓の分野、新しい分野、混沌とした領域である。 だけど学問・技術などの最先端でもある。混沌であるけ…

第二章:進化の汎用性、全てのものは進化し得る(その三)

第二章:進化の汎用性、全てのものは進化し得る(その三) [階層構造とは] 階層構造とは、各階を、下層から上層へと順に積み重ねて、全体を構成している場合の構造で、積み木構造である。階層構造を特徴づける性質は、「高次の階層は、それよりも低次の階層が備…

第二章:進化の汎用性、全てのものは進化し得る(その二)

第二章:進化の汎用性、全てのものは進化し得る(その二)[主役の交代] 先ほど、情報の受発信の手段の変遷を示したが、それも進化ではないのだろうか。生物進化では、環境に適応できない生物は滅ぶという。しかし、受発信の手段の変遷では、以前の主役(例えば、…

第二章:進化の汎用性、全てのものは進化し得る(その一)

第二章:進化の汎用性、全てのものは進化し得る(その一)[変異の附加で進化] ドーキンスがいうように、「コピーされ伝達される情報」が文化(ミーム)であるが、それに「変異」(突然変異)が加われば、進化する可能性がある。だが、進化とは本来生物にだけ適用されて…

第一章: なぜ人間にだけ文化が生まれるのか(その十)

[動物の原初的文化] だが、原初的な文化ならば、動物にも見られる。例えば、宮崎県の幸島の半野生のニホンザルの中で、ある子ザルがエサのサツマイモを小川で洗った。この行動は、母や兄弟姉妹、近くのこどもたちへと広がって行った。その後、この行動が、海…

第一章: なぜ人間にだけ文化が生まれるのか(その九)

[ユビキタス] クラウド化したネットワーク網によって、いつでも、どこでも、だれでもが恩恵を受けることができるインタフェース、環境、技術を意味する、”ユビキタス”(Ubiquitous)が更に一段と現実のものになってゆく。例えば、即座に、音声翻訳をしてくれる…

第一章: なぜ人間にだけ文化が生まれるのか(その八)

[スマートフォン] 今、ネットワーク端末として、ipadの発売以来、Kindle Fire(読書端末)やNexusなどのタブレット、さらにはiphoneの発売以来、スマートフォンが隆盛している。 ともに、アップルがこの流れを作り出してきた。マイクロソフトは、Windows(とデ…

第一章: なぜ人間にだけ文化が生まれるのか(その七)

[メディアとは] なお、”メディア”とは、「情報」が、送り手から受け手に届くまでに経由する、途中に介在する「道具や手段」を指し示す。例えば、音楽を歌手から聞き手に送り届ける手段として、ラジオ、CD、テレビ、あるいは、マイクなどがあり、それらをメディア…

第一章: なぜ人間にだけ文化が生まれるのか(その六)

[ものの身体化] ところで、外化の逆方向ともいえる、ものの”身体化”という言葉もある。例えば、自転車を乗りこなすとは、自転車をあたかも身体の一部であるかのように、乗りこなすことを言い表す。それを、自転車の身体化とも呼べるかもしれない。身体(機能)…

第一章: なぜ人間にだけ文化が生まれるのか(その五)

[文化文明の発展は] 私には、この余剰と外化が、文化文明を生み出し発展させてきたと思える。その内で、主に、知の外化を”文化”(外化した知)と呼び、身体の外化を”文明”(外化した身体機能)と呼ぶ傾向がある。 [文化と文明の区別] もっと具体的に言えば、宗教…

第一章: なぜ人間にだけ文化が生まれるのか(その四)

[進化の条件] ドーキンスは、ミームにも「進化」という現象が生じており、それによって文化が形成される、という。「複製、伝達、変異」という三つの条件を満たしていれば、身体的遺伝子以外の何かであっても、同様に進化するはずだと見ている。 [遺伝子] 遺伝子…

第一章: なぜ人間にだけ文化が生まれるのか(その三)

[外化の例示] ところで、外化とは何なのだろうか。例えば、自転車や車は、足(身体)の外化したものと、包丁(切る機能)は歯の外化だと捉える。つまり、外化とは、道具(化)である。身体機能、例えば、移動する機能(足、脚)を、身体外の道具に移し替える。本など…

第一章: なぜ人間にだけ文化が生まれるのか(その二)

[生活とは] ということで、改めて、生活とは何か。人が生きている限り、その命を維持し、育むために行っている必要不可欠な活動である。ここまでは動物でもある。 ところが、動物にはなく、人間にだけある、衣食住とその他にも、日常生活動作や、労働、余暇…

第一章: なぜ人間にだけ文化が生まれるのか(その一)

第一章: なぜ人間にだけ文化が生まれるのか [文化] 人類学(人類に関しての総合的な学問)においては、「人間」と「自然や動物」との間にある差異を説明するための概念が、"文化"である。 では、文化とは何か。辞書的な説明は、人間の生活様式の全体。もう少し補足…